【信長と家康、魂の同盟!】 清洲同盟の真実に迫る!

【どうする家康をどう観る!?】
ヒストリーライオン『どうした家康・なにした家康』の第二号。

みなさんこんにちは!
東京文化ライオンズ歴史地理研究班の鈴木慎平です。
今回も『歴史を楽しみ学ぶ団体 ヒストリンク』代表の斎藤太一さんとスペシャルコラボをしまして、ヒストリーライオン『どうした家康・なにした家康』の記事をお届けします!

前回同様、「どうする家康」のあらすじ解説&歴史事項のQ&Aについて
色々と調べてみましたので、よろしくお願いします♪

さてさて、前回のメールマガジンから四話分展開がありました。
マツジュン元康(家康)は戦の日々に戸惑いながらも着実に実力をつけていきます。
今回の四話の中で元康は今川家を離れ、織田と同盟を組みます。
かつての主家に対して妻子を人質に取られつつ厳しい戦いを強いられますが、
伊賀・甲賀の「忍びの者」の活躍もあり、鵜殿長照を打ち取り二人の息子を生け捕りにする…という展開。


瀬名を手籠めにしようとする氏真の悪役っぷりが際立ち河原での瀬名と家康の再開のシーンは熱かったですね!それではまずはあらすじの紹介から、今回のQ&Aを見ていきます。

NHK大河ドラマ公式より
あらすじ
https://www.nhk.or.jp/ieyasu/story/

【第3回「三河平定戦」】ーーーーーーーーーーーー
故郷の岡崎へ戻った松平元康は、妥当・信長を決意するが、弱小の松平軍はまったく歯が立たない。一方、今川氏真は援軍をよこさず、本多忠勝らは、織田に寝返るべきだと言い始め、駿府に瀬名を残す元康は、今川を裏切れないと悩む。そんな中、伯父の水野信元が岡崎城にある人を連れてくる。それは16年前に生き別れてた元康の母・於大だった。

【第4回「清州でどうする!」】ーーーーーーーーーー
松平元康は信長が待つ尾張・清州城へ向かった。幼きころに織田に捕らえられていた元康は、信長から再開のあいさつ代わりに相撲の相手を命ぜられる。くせ者・木下藤吉郎から盟約を結ぶ代わりに、驚くべき条件を提示される。一方、駿府に残された元康の妻・瀬名は、今川氏真から元康と離縁して、側室になれと迫られる。

【第5回「瀬名奪還作戦」】ーーーーーーーーーー
元康は、駿府に捕らえられている瀬名を取り戻そうと決意。家臣たちの反対を押し切り、イカサマ師と呼ばれ嫌われている本多正信の妙案に望みを託す。正信は、伊賀忍者の服部一党を使い奪還作戦を立てるが、頭領の服部半蔵は過去の失敗ですっかり自信を失っていて…。

【第6回「続・瀬名奪還作戦」】ーーーーーーーーーー
今川氏真は元康に対し「降伏しなければ瀬名」たちを皆殺しにする」と通達した。本多正信からは「今川家重臣を生け捕りにし、瀬名たちと人質交換する」という更なる秘策を提案され、実現困難ともいえる大胆な策だが、元康はすべてを託すことに。正信の命を受けた半蔵は難攻不落の上ノ郷城に忍び込み、やがて火の手が上がる。
その炎は成功の合図なのか、それとも…。

今回の見どころはズバリ・・・・!!
「なぜ信康は今川を裏切りそして織田についたのか!?」という点でしょう。
海道一の弓取りである今川家と新進気鋭の尾張織田家。
二つの強大な勢力の狭間で家康は何を考えどのように生きたのか。
今回はそのことにも触れながら記事を書いていきます。

【今川家を裏切るまでの経緯】
前回の復習にもなりますが、まずは信康の小さいころの話から。
信康(家康)は幼少期から今川義元の元に人質として預けられ
育てられてきました。囚われの身分といえど、
今川家お抱えの大軍師雪斎を家庭教師につけるなど
好待遇での駿府暮らし。
次期当主今川氏直に仕える忠実な家臣であり友となるべく
義元により大切に育てられました。ここまでは前回メルマガで書いたとおり。
しかしその義元は永禄3年(1560年)桶狭間の戦いでまさかの落命となり、
19歳の家康はいきなりの決断を迫られることになります。

命からがら戦地からの退却を行い地元岡崎に帰った信康は、
それでもその後の今川家を支えようと奮闘します。
駿府にいた妻子、瀬名と亀姫も桶狭間の直後に元康のもとに返されたようです。
これは今川氏直も元康のことを織田への防壁となる強力な仲間と考えていたからのようで、
この点は大河ドラマの展開と大きく異なる点です(※近年の新説とされます)
元康は後の同盟者となる織田信長を相手取り
織田の東征を阻む壁となったわけですが、
しかし今川家の諸国に対する劣勢が次第に明らかになると
破竹の勢いで攻めかかる織田家を相手とするに値する十分な援護が三河に送られなくなりました。
深刻で厳しい選択を迫られる状況の中、信康は生まれの母(於大の方)の兄である水野信元を仲介として
織田家と同盟を結ぶことになるのでした。

【信長と家康、魂の同盟!】
①清洲同盟の真実
桶狭間の戦いから事態は風雲急を告げました。
元康は西三河から東三河への領国拡大のため
信長にとっては美濃の斉藤氏への攻勢を強めるため、
両者の思惑はここに一致し、本格的な領土協定が締結されました。

これが今日に「清州同盟」として伝えられる同盟関係です。
ドラマの中では「信長・秀吉・家康」が一堂にそろい踏みするという豪華な演出がなされていましたね。
これまでの通説では永禄5年の正月に元康は清州城に向かい信長と対面で同盟を結んだ…とされていましたが、
実は『三河物語』『松平記』など戦国期に近い資料にはこのような記述がないとのことで、
(ドラマチックではあるものの)直接面会して同盟を結んだということはないようです。
永禄4年2月に和睦と領土協定が結ばれ、そして今川氏との決別することになりました。

当時は戦国の世ですから、同盟関係というのは途中で破棄されて当たり前だったようです。
しかしこの清州同盟は信長の死去(1582年)まで実に20年にも渡る継続関係となりました。
これは当時の常識から考えると異例中の異例だったようです。
そう考えてみると、清州に訪問しての同盟締結はフィクションだとしても、
信康と信長にはただならぬ関係があったのかもしれませんね。
二人が幼少期に出会っていたという大河の設定はあながち嘘ではないのかもしれません。

③忍びの話
大河第五話・六話の「瀬名奪還作戦」には大鼠や穴熊など沢山の忍びが登場しました。
鵜殿長照の守る城を攻める際にも、夜襲をかけ花火を使い派手に大捕物をするなど、
いかにもドラマ用の作劇だな…など感じられたかもしれません。
しかし攻城に忍び、夜襲、花火などの描写は史実に則った正確な描写とのことです!
これは調べてみてビックリしました。
時代考証の平山氏によれば、戦国時代の日本各地には忍びが存在して、特に三河地域では忍びの活動の記録が多いとのこと。
これらは『三河物語』の中にも記述がみられる公式の存在のようです。
ちなみに劇中で「服部半蔵は忍びではない」という話が繰り返しでてきましたが、
こちらも史実通りで、半蔵は忍びではなく彼らのまとめ役の足軽大将として活躍していた可能性があるそうです。
劇中に「半蔵様が死んだら、俺たちの妻や子に誰が銭を渡してくれるのか」というセリフがありましたね。
これは足軽大将が忍びたちの働きを記録して褒章の支給をしていたことを反映させた描写のようです。

④人質交換について
繰り返し書いてきたように、この時期瀬名姫は既に岡崎にいて、
竹千代(後の松平信康)一人が駿府に残っていたようです。
元康が今川家を裏切ったことから殺されそうになるものの、
竹千代は今川家重鎮の関口氏純の孫でもあることから命を長らえます。
そして鵜殿長照の息子二人(氏長・氏継)が元康の手に渡ったとき、
交換として岡崎に戻ってくることになりました。
このとき今川方に戻った氏長・氏継兄弟は、
今川家が滅んだあとに長く家康に仕えることになります。
弟である氏継は関ケ原の前哨戦である伏見城の戦いにて壮絶な討ち死を果たし、、
氏長は大阪の陣も超え寛永元年(1624年)76歳にて天寿を全うしました。

【締め】
如何だったでしょうか?
今回のメルマガは以上となります。
今川家からの独立や瀬名奪還の話まで
ドラマとしてかなり熱い展開になってきましたね。
「どうする家康」ではお市の方の登場の仕方もかなり衝撃的で、
まさか元康と婚姻一歩手前になるとは思いもよりませんでした!
木下藤吉郎が柴田勝家をからかった言葉も
史実を知っていると後の伏線に感じられてニヤリとするものがありましたね。

書店では原作脚本を元にした小説版にも出ておりますので、
セリフなどご興味ある方は実際にお手に取ってご確認ください♪
(NHKオンデマンドでは初回からの放送も有料視聴することができます)
https://www.nhk-ondemand.jp/

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