内藤コレクション展Ⅱ「中世からルネサンスの写本 祈りと絵」

国立西洋美術館の新館・版画素描展示室で開催中の展覧会内藤コレクション展Ⅱ「中世からルネサンスの写本 祈りと絵」を鑑賞してまいりました。そのレポートをお送りいたします。

館内は新型コロナのため事前予約制で手続きがやや億劫でしたが、人数制限がなされていて逆にいつもよりゆったりと鑑賞することができてよかったです。

ミュージアムショップでは、ソーシャルディスタンスを保ちつつも多くの方で賑わっておりました。わたしもたくさんのポストカードをゲットしました。

《時祷書より:受胎告知》リュソンの画家、1405-10年頃、
彩色、金、インク/獣皮紙、内藤コレクション

さて、内藤コレクション展とは、内藤裕史氏(筑波大学・茨城県立医療大学名誉教授)が長年にわたって蒐集し西洋美術館に寄贈した一連のコレクションです。通常、入手が困難な時祷書が一気にみられるので、貴重な展覧会としておすすめです!なんと写真撮影もOKな展示です!

15-16世紀の西ヨーロッパ(イギリス、フランス、ベルギーとオランダ)で制作された作品が多くありましたが、その中でも一際多く展示されていたのが、時祷書です。

「ズヴォレ聖書」より:3つのイニシャルのDの内部に「ダヴィデ伝」の諸場面、北ネーデルラント、ズヴォレ、1474年、彩色、金、インク/獣皮紙、内藤コレクション(長沼基金)

見てください!この細かな描写。印刷技術がまだまだ未発達な時代なので、手描きで一枚一枚丹念に仕上げられています!

時祷書とは、一般の信者が日々の定められた時間に朗読する、聖書の抜粋や祈祷文などを収めた書物です。当時の人々はこの時祷書のスケジュールに則りながら生活していました。生活と宗教が今よりももっと身近だった時代のカレンダーのようなものでしょうか。

主な注文主は王侯貴族や裕福な市民でした!彼らの美意識に沿った流麗な描き込みや文様に心が打たれます。

15-16世紀のヨーロッパではルネサンス美術が花開きましたが、影響は写本挿絵の世界にも及びました。出品作の中にも、遠近法的に描かれたものや自然で現実感のある人物描写が垣間見れました。

こちらの展覧会は会期が迫っているのでお気をつけください。

西洋美術館の前庭にはロダンの作品が間近で見られます。写真は地獄の門。

ライティングされていてとても綺麗でした。

現在、上野の文化施設の各館ともコロナで予約制をしいております。お出かけの際にはインターネットで予約をしてから向かわれるとよいでしょう。

早く新型コロナも収まり、フラっと寄れる美術館が戻ってくることを祈っております。

[新館 版画素描展示室]
内藤コレクション展Ⅱ「中世からルネサンスの写本 祈りと絵」

会期:2020年6月18日(木)~8月23日(日)
※会期変更開館時間:9:30~17:30
毎週金・土曜日:9:30~21:00
※入館は閉館の30分前まで

詳細はこちらから

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