ライオンズクラブの皆さん、こんにちは!東京文化LCのL鈴木と申します。
木々も徐々に色づき、本格的な秋の到来を感じます。
さて、秋といえば芸術の秋も魅力的ですが、やはりなんといっても食の秋でしょう。
今回、東京文化ライオンズYCE委員会の集まりで
台東区仲町通りにある「蓮玉庵」というお蕎麦屋さんを訪店しましたので、食レポをお届けいたします。ぜひ、ご覧いただけますと幸いです。
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こちらは湯島の仲町通りにある評判の名店で、
その佇まいは古式ゆかしく色町湯島の中にあって珍しい独特の雰囲気を醸し出しています。
聞けば創業は江戸末期、井伊直弼の”安政の大獄”でおなじみの安政年間という話で、
店の伝記が伝える1859年(安政6年)創業が正しいとすると
実に160年以上の歴史を誇るお店というわけであります。
蓮玉庵はかの幕末の戊辰戦争(上野戦争)の時には既に営業を開始しています。
創業当初は現在の場所とは異なる不忍の池の端沿いにあり、
江戸時代のガイドブックである『江戸名所図会』には既にその名前が見られて、
谷中や根津のほうからも多くの文人・歌人が訪れていたそうな。
蓮玉庵の名は森鴎外の「雁」や坪内逍遥の「当世書生気質」の中にも登場し、
樋口一葉も日記の中に蓮玉庵のことを書いているとのこと。
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店内には戦後まもなくと思われる年季の入った白黒写真や
往時の上野界隈の賑わいを伝える江戸期の浮世絵などが飾られており、
湯島を訪れフラっと立ち寄っただけでも何かタイムスリップをしたかのような
不思議な感覚に包まれるかもしれません。
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今回我々が頼んだのは古式せいろそば。
三段に組まれた木組みの中に質感の異なる蕎麦がそれぞれ三種類。
山葵の効いたツユにつけ一気にすすると…ツンとくる薬味の後に
香り豊かなそば粉本来の風味を味わうことができます。
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(使われているヤカンにも時の積み重ねを感じさせる情緒がありました)
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我々を歓迎してくれたのはお店のおかみさん。
親切丁寧な接客とお客さんとの気さくな交流を心掛けているそうで、
我々も食べている間に様々な話を聞かせてもらえました。
今回なんとサービスでかきあげを一つ余計にいただきました。
さりげない心遣い。下町情緒を感じさせる一幕でした。
戦後には吉川栄治や池波正太郎も楽しんだという蓮玉庵。
存分に店内の雰囲気を堪能したあとで店内を後にしました。
外へ一歩踏み出すとそこには懐の広い湯島の街並みと秋晴れの空。
仲町通りは飲み屋も多い湯島の夜の顔ですから、
そのような活気ある場所で歴史を見守り時を積み重ね続けた蓮玉庵というお店は
往時の様子を幕末から今へと語り継ぐ歴史の生き証人ともいえましょう。
情緒を感じつつのせいろ蕎麦は最高でした。
ぜひまた行きたいと思わせる心遣いの光る名店だといえましょう。
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L鈴木慎平