ウシにひかれてトーハクまいり!

トーハク本館に展示されている生花の様子

あけましておめでとうございます!本年も東京文化LCをよろしくお願い申し上げます!

新型コロナ感染症の拡大は収束を見せず、新年早々、緊急事態宣言と慌ただしくはありますが、その中でもできるアクティビティーを牛歩のように堅実に行ってまいります。

さて、今回のブログでは、現在東京国立博物館で開催中の企画「博物館に初もうで ウシにひかれてトーハクまいり」の様子をお伝えいたします。外出しづらい昨今ではありますが、博物館へ行ったかのようなお気持ちになっていただけますと幸いです。

入場は事前予約が必要です。緊急事態宣言ですので、かなり空きがありました。

入り口でチケットを購入し、早速入館します!事前予約が必要ですので、事前にインターネットから確認した方が安心です。

東京国立博物館

館内は空いておりました。

トーハクのキャラクターであるトーハクくん(左)とユリノキちゃん(右)もマスクでお出迎えしてくれます。

トーハク本館、いつ来ても圧倒されますね。明治時代から続く美の殿堂。身が引き締まります。

歴史ある階段を上がり2階へ。特別室1&2で「博物館に初もうで ウシにひかれてトーハクまいり」が展示されています。

本展のタイトルは、「牛に引かれて善光寺参り」という諺(ことわざ)を基にしたもので、「身近に起こった出来事に導かれて、思いがけない縁が結ばれること」の例えとのことです。展示作品との思いがけない出会いを通して、改めてトーハクと縁を結んでもらいたい、そんなトーハクのスタッフ皆さんの想いが込められています。

展示の構成は下記の4章立てになっております。

1:牛にまつわる信仰史(特別1室)
2:牛と共同した暮らし(特別1室)
3:牛車と王朝の様式美(特別2室)
4:描写された牛の姿形(特別2室)

特別1室で私が気になった作品はこちら!

牛と共に日常があったことがわかります。今は牛といえば、食べるものですが当時は農作業時の貴重な労働力だったんですね!生活と密着した牛たちの姿が丁寧に描かれています。

続いては、こちら、重要文化財 阿弥陀如来および両脇侍立像(善光寺式)です!

ふっと、重要文化財に出会うのがトーハクの素敵なところ!犬も歩けば、なんとやらではないですが、歩けば、国宝に出会ってしまう!そんな不思議なスポットがトーハクです!

続いて、特別2室別へ移動します。

来ました!今回、私が一番みたかったのがこちらの重要文化財駿牛図断簡です!

見てください。この気品のある振る舞い。牛の見返り美人図と歌われている風態。ボヤッとした毛並みから柔らかな質感が立ち上ります!最高!眼福の一時。ありがたいですね〜!

私もよく牛の芸術作品を制作しますで、大変勉強になりました。

ふっと、何気ない場所に国宝!片輪車蒔絵螺鈿手箱!これぞトーハクの醍醐味ですね!

平安時代を代表する牛車のモチーフの工芸品です。1000年近くも前のものがこうして語り継がれ、ここにあるということに先人たちへの感謝を思います。

まだまだご紹介したい作品もありますが、ここで一旦、「博物館に初もうで ウシにひかれてトーハクまいり」の展示の様子を切り上げまして、トーハクの新春恒例の展示もご紹介いたします!

他の作品もご覧になりたい方はこちらをご覧ください。たくさんの写真を撮影してまいりました!

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国宝「松林図屏風」(長谷川等伯)

。。。。圧巻でした。。。。これが独り占めできるのが、今のトーハクです。緊急事態宣言ということもあり、普段ならば行列ができて、人だかりの山なのですが、こうして鑑賞できるのは不思議な気持ちです。

遠くから見ると優しい落ち着いた雰囲気も、近くで見ると荒々しいタッチで描かれています。

国宝を堪能したあとは、他のコーナーも散策。

また!すごいのがありました!浮世絵コーナーを歩いていて、ふっと見ると!洒落です!

重要文化財がゴロゴロあるので、ありがたさのインフレが起こり、慣れてきてしまいます笑

1階の仏像コーナーには、牛にちなんだ愛染明王様がいらっしゃいました!

いかがでしたでしょうか?一部しかトーハクの魅力をお伝えできませんでしたが、緊急事態宣言が解除されたのち、ぜひいらして本物をご覧になっていただければと思います。

こうしたコロナ禍におけるオンラインを用いた文化的・芸術的なアクテビティーを多く行っていければ幸いです。本年もよろしくお願い申し上げます。

L一ノ瀬健太

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特集 博物館に初もうで ウシにひかれてトーハクまいり


1985年生まれ。新潟県出身。東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程在籍。

禅をモチーフに創作活動をしております。上野界隈の旦那&女将衆と一丸となってまちを文化芸術の力で活性化させるアート活動を展開中。文化庁文化芸術アソシエイツ。教員免許・学芸員資格有。天空の芸術祭や桃源郷芸術祭、上海アートフェアなどに出品。

「Future Artists Tokyo」展(アートフェア東京2019内)キュレーター。著書に「人間芸術家宣言!」。

阿吽(あうん)のライオン

 

東京国立博物館のシンボル“阿吽のライオン像”(1909:表慶館)

 東京国立博物館で最も好きなアートの一つは表慶館のライオン像です。このみどりのライオンはいつも知の探訪を存分に楽しませてくれます。なぜここにこんな不思議なライオンがいるのだろう。悠然と構えていますゆえ、最近ではコロナという外敵から守ってくださいとお願いをしています。この像は厄除けもしてくださるそうです。ここへは毎年数度と訪れていますが今回は皆さんと一緒に散策してみましょう。

明治35年(1902年)、上野動物園に初めてライオンはやってきました。日本では獅子や虎は古くから日本美術の意匠として馴染みはありましたが実際には日本に生息せず想像上の生きものであったようです。現実の動物としての力強い描写の彫刻はこのライオン像が日本で初めてとなります。注目すべきは「阿吽(あうん)」です。金剛力士像や狛犬にも見られる阿吽は仏教用語の真言で「万物の始まりと終わりを象徴するもの」とされています。サンスクリット 語に由来するとのことではありますが私にはもう日本独自の文化として根付いているように思えます。平仮名の最初の「あ」と最後の「ん」も見事に連動しています。日本人の得意な対の呼吸も「あうんの呼吸」「あうんの仲」と言われ日本文化として称賛され、さらには物事を奥深いものにしています。そのようなことを考えながらこのライオンの表情をよくみるととても人懐っこい顔をしていることに気づきます。醸し出すエネルギーや表情は仁王様のそれとは全く違います。20世紀のはじめ、日本に近代化の波が押し寄せた明治の終わりの頃、西洋で学んだ製作者たちが、百獣の王ライオンをモチーフに、日本人の魂を吹き込んで、希望に満ちた新時代を迎えたかったのでしょう。

その像の製作者は日本の近代彫刻の先駆者の大熊氏廣と沼田一雅。大熊氏廣の代表作は靖国神社のあの大村益次郎像。なんと、今でも上野を見守っていると言われています。沼田一雅は日本陶彫会の創始者、その志は「内面にあるものを掴むこと(日本陶彫会H Pより)」。

当時の製作者の思いや物語が感じ取れるような気がします。きっとリバティとインテリジェンスを内に宿したライオンズの皆様には何か語りかけてくれるのではないでしょうか。上野を散策する際にはロダンや高村光太郎、荻原守部、朝倉文夫の作品巡りとともに、やはり是非、阿吽のライオンとの対話をお楽しみください。

東京文化ライオンズクラブ 通信デスク L城戸正幸