マレーシア・イスラーム美術館精選 特別企画 「イスラーム王朝とムスリムの世界」

イスラーム関連でも豊富なコレクションを有するマレーシア・イスラーム美術館の全面協力が得るれた展示で、特定の国家や地域によらない、世界規模のイスラーム美術の展示が一同に展示されています。イスラームと聞くと、ISISやタリバンなど日本のニュースでよく流れるコワいイメージがありますが、そうしたメディアの流す情報に対して自分なりの冷静な視座を持つことも大事と思い、東京国立博物館にやってまいりました。

知っているようでようでふだん馴染みの無いイスラーム文化と芸術をご紹介いたします

※撮影した写真でミニイスラーム文化芸術堪能ツアーもできます。リモートでご覧になりたい方はこちらをご覧ください。

天気は快晴。雲ひとつありませんでした!トーハクの象徴でもある本館の右側・東洋館が今回の展示の開催場所です。

いざ、地下の展示室へ!

イスラーム教は、7世紀にアラブ人のムハンマドが預言者として唯一神に対する信仰を説き、創始した宗教です。その後、イスラーム教は西アジアのみならずヨーロッパ、北アフリカ、中央アジア、東南アジア、そして東アジアへと広がり、キリスト教に次いで世界で2番目に信者の多い宗教にまで発展しました。イスラーム教を受容した世界各地では、多くのイスラーム王朝が交替しましたが、いずれも各地の文化を融合させた独自のイスラーム文化を展開してきました。(展覧会解説文・参照)

私自身、イスラーム美術と聞くと、歴史的に幾何学的文様や花柄、アラベスク、カリグラフィーによる抽象的な装飾が頭に浮かびます。イスラーム美術では偶像的なモチーフが少ないため、人間や生物の描写は少ない印象があります。今回も美しいアラビア文字のカリグラフィーが随所で見ることができました。

展示品からは、イスラーム文化の多様性がうかがえ、イスラーム世界への理解を深める手がかりとなるような美術工芸品や歴史資料などが紹介されていました。

上記写真、右下の展示品は、ウマイヤ朝のアカンサス文柱頭でモスクの柱の上にのせられていたものです。イスラーム建築もイスラーム以前の地中海世界文化の影響を受けていたことがわかります。

展示は第1章から15章までと細かく分かれ、ムスリム世界の歴史と文化を概観しながら、個別の王朝ごとにイスラム文化圏の発展の過程を追うことができます。高校時代にうとうとしながら聞いていた世界史の授業で聞いた王朝がたくさん並びます。もっと真剣に世界史を学んでいればよかったと後悔しました(笑)

祈りの場であるモスクで用いられる聖典や敷物、ランプなどが展示され、ムスリムの生活を身近に感じることができました。

絵画の中で展示品がどのように使われていたかが示されます。写真の絵画の左下には木箱が描かれています。絵画から海風が流れてきそうです。

さて、各セクションの中でも今回、一番私がみたかったのがこちら!

ミフラーブ・パネルです。みてください!

このターコイズ・ブルー!!!超綺麗です!!!癒されます!!!

ちなみにミフラーブ・パネルとはアーチ形のタイルで、中央部分とその縁飾りで構成されています。ターコイズ・ブルーの濃淡で施釉(せゆう)され、様式の異なる文字文(もじもん)で装飾されています。モスクの礼拝する場所に設置され、イランや中央アジアの建築によく見られるものです。

もう一点、見たかったものがこちらです!

南インドの宝飾ネックレスです!ダイヤモンドとルビーをはめ込んだ花形パーツ、ペーズリー形パーツなどをつなげたものです。実に優雅で贅沢なアクセサリーです。

各王朝の変遷だけでなく、現代絵画や武器と外交のセクションがあるなど、さまざまな切り口からイスラーム世界を眺めることができました。とりわけ、現代絵画では迫力あるアラビア文字が美的に表現され、大画面で圧倒されました。

武具なども一式展示されています。

※撮影した写真でミニイスラーム文化芸術堪能ツアーもできます。リモートでご覧になりたい方はこちらをご覧ください。

開催概要
名称:マレーシア・イスラーム美術館精選 特別企画 「イスラーム王朝とムスリムの世界」
会期:2021年7月21日(水)–10月10日(日)
開館時間:9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
会場:東京国立博物館 東洋館12・13室

詳細は東京国立博物館公式ウェブサイトをご覧ください

東京文化ライオンズクラブ
L一ノ瀬健太

老舗・蓮玉庵で古式せいろそばを食べてきました

ライオンズクラブの皆さん、こんにちは!東京文化LCのL鈴木と申します。
木々も徐々に色づき、本格的な秋の到来を感じます。

さて、秋といえば芸術の秋も魅力的ですが、やはりなんといっても食の秋でしょう。

今回、東京文化ライオンズYCE委員会の集まりで
台東区仲町通りにある「蓮玉庵」というお蕎麦屋さんを訪店しましたので、食レポをお届けいたします。ぜひ、ご覧いただけますと幸いです。

こちらは湯島の仲町通りにある評判の名店で、
その佇まいは古式ゆかしく色町湯島の中にあって珍しい独特の雰囲気を醸し出しています。
聞けば創業は江戸末期、井伊直弼の”安政の大獄”でおなじみの安政年間という話で、
店の伝記が伝える1859年(安政6年)創業が正しいとすると
実に160年以上の歴史を誇るお店というわけであります。

蓮玉庵はかの幕末の戊辰戦争(上野戦争)の時には既に営業を開始しています。
創業当初は現在の場所とは異なる不忍の池の端沿いにあり、
江戸時代のガイドブックである『江戸名所図会』には既にその名前が見られて、
谷中や根津のほうからも多くの文人・歌人が訪れていたそうな。
蓮玉庵の名は森鴎外の「雁」や坪内逍遥の「当世書生気質」の中にも登場し、
樋口一葉も日記の中に蓮玉庵のことを書いているとのこと。

樋口一葉

店内には戦後まもなくと思われる年季の入った白黒写真や
往時の上野界隈の賑わいを伝える江戸期の浮世絵などが飾られており、
湯島を訪れフラっと立ち寄っただけでも何かタイムスリップをしたかのような
不思議な感覚に包まれるかもしれません。

今回我々が頼んだのは古式せいろそば。
三段に組まれた木組みの中に質感の異なる蕎麦がそれぞれ三種類。
山葵の効いたツユにつけ一気にすすると…ツンとくる薬味の後に
香り豊かなそば粉本来の風味を味わうことができます。

古式せいろそば

(使われているヤカンにも時の積み重ねを感じさせる情緒がありました)

我々を歓迎してくれたのはお店のおかみさん。
親切丁寧な接客とお客さんとの気さくな交流を心掛けているそうで、
我々も食べている間に様々な話を聞かせてもらえました。
今回なんとサービスでかきあげを一つ余計にいただきました。
さりげない心遣い。下町情緒を感じさせる一幕でした。

戦後には吉川栄治や池波正太郎も楽しんだという蓮玉庵。
存分に店内の雰囲気を堪能したあとで店内を後にしました。

外へ一歩踏み出すとそこには懐の広い湯島の街並みと秋晴れの空。
仲町通りは飲み屋も多い湯島の夜の顔ですから、
そのような活気ある場所で歴史を見守り時を積み重ね続けた蓮玉庵というお店は
往時の様子を幕末から今へと語り継ぐ歴史の生き証人ともいえましょう。
情緒を感じつつのせいろ蕎麦は最高でした。
ぜひまた行きたいと思わせる心遣いの光る名店だといえましょう。

店舗外観

L鈴木慎平

10月の理事会報告

東京文化ライオンズクラブ は10月の理事会を開催しました。クラブ手帳の作成やガバナー公式訪問、クリスマスチャリティーオークションの開催について協議しました。無事閉幕した若手企画のイベントBON FESの報告がなされました。オンライン配信での再生数1300を超える盛況ぶりでした。