東京文化LCのL一ノ瀬です。本日はトーハクにて開催されております、特別展「没後100年・黒田清輝と近代絵画の冒険者たち」をご紹介いたします。
今ではその作品も教科書に載る有名な黒田ですが、当初はアートと認められずセンセーションな絵画として受け取られていました。裸なんてもってのほかと、該当部位が隠されて展示されてもいました。明治維新のさなかあらゆるものの価値観が大きく変化する中で表現の自由を勝ち取ってきた、まさに冒険者のひとりとして展示は構成されています。
この展覧会では、日本近代洋画の先駆者である黒田清輝の没後100年を記念し、彼と共に日本の近代絵画を切り開いた吉田博やラグーザ玉、中沢弘光、川村清雄などの画家たちの作品を紹介されています。
黒田清輝は、明治時代にフランスで学んだ西洋画の技法を日本に持ち帰り、日本の美術界に大きな影響を与えました。その中でも、特に注目すべき作品が、重要文化財に指定されている「智・感・情」です。この作品は、黒田が日本で洋画を普及させる過程で生まれた、彼の思想と技術の結晶ともいえる作品です。
「智・感・情」は、3枚の絵からなる三連作で、人間の知性(智)、感覚(感)、感情(情)を象徴的に描き出しています。これらの作品は、西洋のアカデミズムの影響を受けつつも、日本の伝統的な美意識を取り入れた独自の表現がなされています。例えば、「智」では静謐で思索的な女性像が描かれ、「感」では自然の中に佇む女性が感覚の豊かさを示し、「情」では感情の奔流を表現するような力強い描写が見られます。日本人をモチーフにしつつ、欧米人の身体の比率、すなわちある意味で”理想化”されたスタイルで描かれたこれらの作品は、単なる美術品としてだけでなく、黒田の芸術哲学や時代背景を反映した重要な文化財です。
本展では、黒田清輝のこの代表作「智・感・情」に加えて、彼と同時代に活躍した画家たちの作品も展示されています。これらの作品群は、日本の近代絵画がどのように発展していったのか、その歴史を物語ります。
いまではすっかり我々に馴染んだ作品も、当時は今でいう炎上をもたらした作品なんですね!
また、展示作品には分かりやすい解説が添えられており、当時の時代背景や作品のもつ意義を理解しやすくなっています。
「智・感・情」を通じて、黒田清輝が追求した「新しい美」とは何だったのか、そしてそれが現代にどのように影響を与えているのかを感じ取ることができるでしょう。
この特別展は、美術に興味がある方はもちろん、初めて美術館を訪れる方にもおすすめです。
東京国立博物館で、黒田清輝と近代絵画の冒険者たちの軌跡を体感してみてください!!!
没後100年・黒田清輝と近代絵画の冒険者たち
本館 特別1室・特別2室 2024年8月20日(火) ~ 2024年10月20日(日)
詳細URL
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=2666
おまけ…
数限りなくあるトーハクの見どころですが、さらにその一部をご紹介いたします!
トーハクの本館の顔とも言える大階段!いつ見ても壮観です。
一階入ってすぐ右側にある仏像コーナー。ありがたや。ありがたや。思わず拝んでしまいます。
人間国宝・平田郷陽の展示も行われてました。生人形というだけあって生々しい!
日本の近代美術コーナーです。高村光雲の老猿が久々に戻ってきました。展示物も色々ローテーションしてますね!
最後はお土産コーナーでお買い物!郷里の母に送るトーハク限定のお菓子を買いました!
行くたびに展示が変わるトーハクは、いつ行っても本当に新鮮です。館内は冷房も聞いているので、ゆったり落ち着いて鑑賞もできます。残暑厳しい季節にはぴったりです。少し早い芸術の秋を堪能いたしました。
東京文化LC L一ノ瀬
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